「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」発表

公正取引委員会は、9月28日に、「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」を公表しました。これは、平成11年に発表された「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針」を見直し、全面的に改定したものです。

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.september/07092803.pdf

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

米最高裁、特許消尽論についての審理を開始

米国最高裁判所は、Quanta Computer Inc. v. LG Electronics Inc.事件の上告を受け入れ審理を行うことを決めた。

主な争点は、特許権者がライセンス契約を通じて消尽の範囲を制限できるのか否かという点である。

QuantaはIntelのチップセットを用いてコンピュータを製造・販売している。LGはIntelとクロスライセンス契約を有しており、Intelの各チップがライセンス対象であることは認めているが、これらの複数チップの組み合わせがデータ送受信の方法及び装置に関するLGの特許を侵害している旨主張している。一方、Quantaは、これらチップセットの使用はLGとIntel間のクロスライセンスによりライセンスされたものである旨を反論している。

地裁は、装置クレームに関しQuantaの主張を認めたが、CAFCでは消尽が生じるためには”unconditional sale”が必要として地裁に差し戻していた。

対象特許はUSP 4,918,645, USP 5,077,733, USP 4,939,641, USP 5,379,379, USP 5,892,509。LGの弁護士事務所はFarr & Taranto。Quantaの弁護士事務所はLatham & Watkins。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

【LED関係】日亜化学、Cree Inc.と和解

日亜化学工業株式会社は、Cree Inc.と和解し白色LED及びナイトライドレーザーに関するクロスライセンス契約を締結した旨を発表した。両者は青色LED等について既にクロスライセンス契約を結んでいたが、白色LEDについては対象外であった。

なお、日亜化学は韓国のSeoul Semiconductorを米国等で提訴しており、係争は継続中である。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

【半導体関係】ITC、Linear Technologyの申請を認める

ITCは、Linear Technology Corp.の申立てに基づき、Advanced Analogic Technologies Inc.の製品の輸入禁止を決定した。

Linear Technologyは、Maxim Integrated Products Inc.とは既に和解済み。

なお、対象特許はUSP 6,580,258。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

【CAFC判決】"signal"は法定の主題ではない

CAFCは、In re Petrus A.C.M. Nuijten ケースにおいて、”signal”は法定の主題ではないと判示した。

Nuijtenの出願は、”A signal with embedded supplemental data, … .”とのクレームを含み、USPTOでの拒絶・審判を経てCAFCの判断となった。

米国特許法101条が示す法定の特許主題(subject matter)は、process, machine, manufacture or composition of matter の四種類。”signal”が”manufacture”するか否かについて反対意見はあったものの、いずれの法定主題にも該当しないとの結論に至った。

http://www.fedcir.gov/opinions/06-1371.pdf

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

新ドメイン".asia"

日本語(仮)訳です。

新しいドメインである “.Asia” の優先申請が本年10月9日から開始されます。以下は、Townsend and Townsend and Crewのニュースレター日本語訳になります。一部意訳となりますので、英文のニュースレターもご参照ください。

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“.Asia” ドメインの登録受付開始が発表される
拡大するアジア市場で存在感を大きくしようとする企業にとって新たな機会が訪れつつあります。アジア/オーストラリア/太平洋地区で事業を行い、又は行う計画があり、特定の国に商標登録を有する者は、登録された商標に対応するドメインネームについて優先登録の申請を行うことができます。商標登録を有していない場合であっても登録された団体名等に基づいて優先期間中に申請を行える可能性があります。

アジア地区に住所を有すること
“.Asia”ドメインを申請する者は、所定の73カ国内(“DotAsia Country”)になんらかの実体を有することが要求されます。少なくとも、”domain contacts (Registrant, Administrative, Technical, or Billing)”のうち一つが”DotAsia Country”内に存在する必要があります。”DotAsia Country”内にこのような実体を有していない場合にはTownsendがこの要件を満たすために現地のコンタクトを用意することもできます。

“Launch Phase”の概要
“.Asia”ドメインの申請には複数の申請期間(“Launch Phase”)が設けられています。登録商標の所有者には複数の優先的な”Launch Phase”が提供され、”DotAsia Country”内で登録された団体名等を有する申請者にも優先的な機会が与えられています。今回のドメイン登録手続は、従来のものと異なり、早い者勝ち(“first-come first-serve basis”)ではありません(“Sunrise 1”期間を除く)。”Sunrise 2”あるいは”Sunrise 3”において、適格な申請者が重複した場合、これらの申請者はオークションで競い、そのドメイン名に高い値をつけた申請者が権利を得ることになります。

オークションの手続き
申請者の適格性が判断された後、申請者は他の申請者の情報について連絡を受け、”online closed auction”に参加することとなります。オークションは、新たな入札者が24時間現れなくなった段階で終了します。

“Launch Phase”の詳細(表省略)

2007年10月8日までの“Partner Pioneer Program”
“.Asia”ドメインを管理するDotAsia Organisationは、DotAsiaのプロモーションに同意した特定の団体に対しユニークなプログラムを提供しています。このプログラムにおいては、Partner Pioneer (“Pioneer”)は、その組織名や現在主に用いているドメインに対応した二つの”.Asia”ドメインを優先的に選択することができます。このプログラムへの申請者は、計画しているサービス、プロモーション努力、マーケティングに関する取り組み、DotAsiaに対するサポートなどについて詳細に記載した申請書類を準備し、マーケティングコントリビューション費として$10,000、管理費用として$500を支払う必要があります。このプログラムは、非常に重要な名称であって二次的な意味を有するものや著しく競争が激しいと思われる名称に関してドメインを取得する場合に検討対象となり得るでしょう。このような名称に関しては、本プログラムを用いることにより、オークションを経るより結果的に費用を抑えられる可能性があります。

“Sunrise 1” 政府機関対象:〜2007年10月8日

“Sunrise 2(a)” Early Bird Sunrise:2007年10月9日〜2007年10月30日
この申請期間は、2004年3月14日あるいはそれ以前に出願された有効かつ登録された商標を有する者が利用可能です。申請者は、関連する商品又はサービスにつき登録された国で商標を使用していることを示しうることが求められます。

“Sunrise 2(b)” Registered Marks:2007年11月13日〜2008年1月15日
この申請期間は、2006年12月6日あるいはそれ以前に出願された有効かつ現存する登録商標を有する者が利用可能です。

“Sunrise 2(c)” Extended Protection:2007年11月13日〜2008年1月15日
この申請期間は、2006年12月6日あるいはそれ以前に出願された登録商標の所有者が、その登録商標と登録に関連する言葉との組み合わせについて申請できる期間です。例えば、”XYZ”という商標がエンターテイメントサービスの分野で登録されている場合、”XYZEntertainment.Asia”というドメイン名について申請することができます。

“Sunrise 3” Registered Entity Names:2007年11月13日〜2008年1月15日
この”Landrush”前の最後申請期間では、登録商標の有無に関わらず、ドメイン名を申請できます。申請者は、2006年12月6日またはそれ以前に”DotAsia Country”内で登録した名称を有していることが求められます。上述の申請期間では申請時に書類の提出は要求されていませんが、本期間での申請者は法人設立証明書(“certificate of incorporation”)あるいはそれに類する書類を申請時に提出する必要があります。

“Landrush” 2008年2月〜
“Sunrise”期間終了後は、”DotAsia Country”内にコンタクトがある限り誰でも申請することができます。この期間に重複して申請されたドメイン名に対しては上述したオークションが実施されます。”Landrush”及び”Go Live”についての詳細は未だ発表されていません。

“Go Live” 2008年3月〜
早い者勝ち(“first-come first-serve”)の申請期間が始まります。

以上
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このアラートは情報提供を目的としたもので法律的助言又は見解を示すことを意図したものではありません。

© 2007 Townsend and Townsend and Crew LLP. All Rights Reserved.

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タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

新ドメイン".asia"

新ドメイン “.asia”の優先登録が10月9日から開始されます。これに関し、TTC クライアントアラートが発行されましたのでご紹介いたします。TTCクライアントアラートは、Townsend and Townsend and Crew/タウンゼント知財総合事務所が不定期にお届けするニュースレターです。

英語
http://www.townsend.com/files/Client%20Alert%20-%20Sept%2021%2007%20v2.pdf

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

BMC Resources v. Paymentech

CAFCは、クレームされた行為が複数当事者によりそれぞれ部分的に実施される場合(joint infringement)の侵害認定に関し一定の基準を示した。

本月20日に判示された BMC Resources, Inc., v. Paymentech, L.P. 事件において、CAFCは、クレームされた行為が複数当事者によりそれぞれ部分的に実施される場合、複数当事者の誰かが他の当事者の行為を”control”あるいは”direct”していない限り、原則として直接侵害は成立しない旨を判示した。また、直接侵害成立しない場合、間接侵害が成立しないことも改めて判示している。

本判決の判示は、伝統的なjoint infringementの考え方の範囲内と思われるが、CAFCが改めてその基準を示したことは重要と思われる。

また、同判決で、CAFCは、”The concerns over a party avoiding infringement by arms-length cooperation cna usually be offset by proper claim drafting”と述べている。上述の基準により侵害行為が認定されないような事態を招くのは、基本的に、クレームドラフティングの問題であるとの指摘であると思われる。

http://www.fedcir.gov/opinions/06-1503.pdf

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁