USPTOによるルール改正解説資料

継続出願等に関するルール改正につき、USPTOのホームページにいくつか資料が掲載されています。

下記URLにアクセスすると、Federal Register Notice(改正ルールそのもの), Summaries, Presentation slide set, などがダウンロードできます。Presentation slide setは、先週USPTOがweb上で配信した説明会に用いられたものです(100頁程度のボリュームがあります)。

http://www.uspto.gov/web/offices/pac/dapp/opla/presentation/clmcontfinalrule.html

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

【米国弁護士事務所】Dewey, LeBoeuf 合併へ

New York ベースの2事務所、Dewey Ballantine LLPとLeBoeuf, Lamb, Greene & MacRae LLPが10月を目処に合併する方向との発表があった。

この合併により、12ヶ国に事務所を有し、約1,300人を擁する事務所となる。発表によれば、この規模は全米で14番目(弁護士数)となるとのこと。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

U.S. PTO Issues Final Rules Revising Continuation Practice and Claims Practice

Townsend and Townsend and Crew/タウンゼント知財総合事務所が不定期にお届けするニュースレターです。

英語
http://www.townsend.com/resource/update.asp?o=8371

日本語訳
2007年8月21日、米国特許商標局(USPTO)は、継続出願数及びクレーム数に関するルール改正を発表いたしました。以下は、Townsend and Townsend and Crewのニュースレター日本語訳になります。一部意訳となりますので、英文のニュースレターもご参照ください。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

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2007年8月21日、USPTOは、継続出願数及びクレーム数を制限するルール改正を発表しました。改正されたルールは本年11月1日より施行されます。USPTOは、本ルール改正は遡及的に適用されるものではないと述べていますが、ルール改正が発表された8月21日以降に継続出願を行うと取りえる選択枝が少なくなります。以下に主要なルール改正の概要を説明いたします。

継続出願に関する制限
新しいルールの下では、各出願ファミリー毎に、出願人の権利として2回の継続出願(あるいはCIP)及び1回のRCEを行うことができます。これらを超えるRCE又は継続出願は、そのようなRCE又は継続出願が以前には提示することのできなかった新しい議論、補正、又は、証拠を提示するために必要であることを示す必要があります。一方、出願人は11月1日前であれば何件でも継続出願を行うことができますが、そのファミリーが既に上述の制限に達している場合であっても、8月21日から10月31日の間に継続出願(又はCIP)を行わなければ、11月1日又はそれ以降に、出願人の権利として1件の継続出願(又はCIP)を行うことが許容されます。RCEの場合は、11月1日前にRCEが出願されていれば、出願人の権利として新たなRCEを行うことは許容されていません。なお、出願のファミリーという概念には、原出願、その継続出願、CIPが含まれ、分割出願及びprovisional出願は含まれません。PCTの米国国内段階に移行した出願(provisionalでない米国出願に基づく場合)及びreissueも継続出願に含まれ得ます。

分割出願に関する例外
Restriction要求があった場合、分割出願を行うことができ、その分割出願は新たな出願ファミリーとみなされ2回の継続出願と1回のRCEを行うことができます。USPTOは分割出願の時期的制限を採用しなかったため、出願人は従来と同じ制限のもと分割出願を何時でも行うことができます。また、出願人は、審査官に対してrestriction要求の案を提出することができます。しかしながら、出願人が、restriction要求の無い状態で、自発的に分割出願を行った場合、かかる分割出願は継続出願とみなされ上述の継続出願数制限の対象となります。

CIP時の制限
上述の制限に加え、今回のルール改正では、CIP出願時にCIP出願のどのクレームが従前の出願に記載されているのか(優先日の利益を享受するのか)を特定することが要求されています。

優先権関係のない個々の出願について
USPTOは、優先権を主張せずに個別の出願を複数行うことにより今回のルール改正の制限を迂回されることを防ぐ方策をとっています。すなわち、出願人は、以下の条件を満たす出願をUSPTOに対して特定することが求められています。(A)出願日(又は優先日(priority date))が同じ又は二ヶ月以内の他の出願であって、(B)少なくとも一人の発明者が同一であり、(C)所有者が同じ又は同じassigneeに譲渡される義務を有している出願。この他の出願の情報は、(主に係属中の出願については)2008年2月1日まで、又は、(主に新規出願については)出願日(PCTの場合には米国国内移行日)から四ヶ月以内、又は、filing receiptの発送日から二ヶ月以内、のいずれか遅い期限中に提出する必要があります。改正されたルールを見る限り、この要求は広い範囲で適用されます。例えば、優先日が二ヶ月以上はなれている二つの出願であっても、継続出願の出願日が他の出願の優先日の二ヶ月以内に入っていれば対象となり得ます。

また、以下の条件を満足する出願の間には、特許性のある違い(patentably distinct)のないクレームが存在するとの推定が働きます。(A)出願日が同じであり、(B)発明者が同一であり、(C)権利者が同一であり、(D)実質的に明細書の開示内容が重複する(一方の少なくとも一つのクレームに対し他方の出願にwritten descriptionを満たす程度の記載がある)、出願。
出願人は、(A)クレームが特許性のある違い(patentably distinct)を有することを説明する、又は、(B)terminal disclaimerを提出し特許性のある違い(patentably distinct)のない出願を行う必要がある理由を説明する、ことによって上述の推定を覆すことができます。ただし、審査官が上述の説明に満足しない場合、審査官は特許性のある違い(patentalby distinct)がないクレームをキャンセルする権限を有します(この場合、キャンセルは一方の出願からだけではなく、両出願のクレームがキャンセルされます)。

クレーム数に関する制限
新しいルールによれば、出願人が各クレームの特許性について詳細に説明した資料(“Examination Support Document”)を提出しない限り、各出願のクレーム数は25クレームまでに制限されます(独立クレームは5クレームまで)。25クレームの制限には、上述した他の出願に含まれる特許性のある違い(patentably distinct)のないクレームも含めて数えられます。この制限は、2007年11月1日又はそれ以降にファイルされた出願の他、11月1日現在で特許性に関する庁指令(office action on the merit)を受けていない出願に対しても適用されます。この制限を越える出願に対しては庁指令が出され、制限を越えるクレームをキャンセルするか、Examination Support Documentを提出するよう要求されます。この庁指令に対する応答期間は二ヶ月であり延長不可となります(11月1日に係属している出願については六ヶ月まで延長可能)。また、11月1日以降にファイルされた出願については、出願から四ヶ月以内に回答しないことが特許権利期間調整の計算(patent term adjustment calculations)から減算される可能性があります。出願人は、restriction要求の提案を付して25を超えるクレームを出願することもできますが、USPTOがかかる提案に同意しない場合、超過したクレームについては放棄(withdrawn)するかExamination Support Documentを提出することが要求されます。
Examination Support Documentは、早期審査要求(expedited prosecution)と同じように、以下の内容を満たす必要があります。(1)クレームの構成要件に関連した先行技術文献調査に関する説明を行う、(2)最も関連のある文献を列記する、(3)かかる文献に開示されているクレーム(従属クレーム含む)の構成要素を列記する、(4)独立クレームがかかる文献によらず特許性があることを説明する、(5)各クレームの限定事項のサポートが明細書のどこにあるかを示す。

短期的にとるべき方策
1. 以下のいずれの戦略をとるかを決定する。(1)すでに制限回数に達している出願に対して、11月1日前に継続出願を行うか、又は、(2)11月1日前に継続出願を行わず11月1日以降に1件の継続出願を行う権利を確保する。
2. 2008年2月1日までに、関連する特許出願を特定し、上述した推定の働く出願に関してはそれを覆すための書面を提出する。なお、実務的には、複数の事務所に出願業務を依頼している場合には関連する出願が複数の事務所に分かれている可能性があるため注意が必要です。

出願戦略として検討すべき事項
1. restriction要求を生じさせるような別発明がクレームされていない場合、継続出願数の制限内の出願でそれらの別発明をクレームする。
2. 継続出願数の制限を鑑み、第1回目の庁指令後の審査官面談を活用する。また、RCEや継続出願へ依存する実務を改め審判請求(appeal)を活用する。
3. provisional出願は継続出願数制限の対象とならないため、provisional出願の活用を検討する。

最後に
我々の目標はクライアントが新ルールを成功裏に活用するための情報とリソースを提供することです。9月7日には新ルールを解説するクライアント向けのセミナーを開催する予定です。詳細な情報はホームページをご参照下さい。

このアラートは情報提供を目的としたもので法律的助言又は見解を示すことを意図したものではありません。

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ルール改正、差止めを求める訴訟が提起される

個人発明家であるDr. Tafasは、USPTOのルール改正の差止を求めVirginia東部連邦地裁に訴訟を提起した。継続出願回数の制限は憲法で認められた権利を侵害する等の理由による。今般のルール改正(特に回数を1回に制限したオリジナルの提案)は関係各者からの批判が多かったが、今後の展開が注目される。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場

故意侵害に関する CAFC en banc 判決(補足)

今回の判決で示された”objective recklessness”テストの具体的な適用については今後の裁判例の集積をまたなければいけないが、以前の基準である”duty of due care”と比較し、故意侵害が認められるためのハードルが高くなったのは確かである。”duty of due care”はaccused infringerに対して課される義務であるのに対し、”objective recklessness”を立証するのは特許権者の責任と考えるのが自然である。特許権者が”objective recklessness”の立証を容易にするためには、侵害警告の方法、特許議論等のなかで更に踏み込んだ工夫が必要になるものと思われる。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

故意侵害に関する CAFC en banc 判決

本年8月20日、CAFCは故意侵害に関するen banc判決を下した(In re Seagate Technology, LLC.)。

本判決のポイントはいくつかあるが、Underwater Devices Inc. v. Morrison-Knudsen Co. (717 F.2d 13 Inc. v. Morrison-Knudsen Co. (717 F.2d 1380, (Fed. Cir. 1983)を明確に覆した点が興味深い。

故意侵害を免れるために要求される行為(due care)について、Underwaterでは、”Where … a potential infringer has actual notice of another’s patent rights, he has an affirmative duty to exercise due care to determine whether or not he is infirnge.”と判示し、かかるaffirmative dutyには、弁護士からの鑑定を入手することが含まれる旨を示している。

一方、今回のIn re Seagateでは、故意侵害が認められるためには”objective recklessness”が必要であるとの新しい基準を示し、Underwaterで判示されたaffiramtive duty of due careの基準を廃している。これは、故意侵害を避けるために弁護士からの鑑定を入手する積極的義務が存在しないことを改めて示したものでもある(もちろん、弁護士鑑定の入手が現実的に有効である可能性については別途考察が必要である)。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

USPTO、継続出願数の制限等に関するルール改正を公布

懸案であった継続出願数等の制限・審査クレーム数の制限に関するルール改正が公布された模様(USPTOのweb siteには明日掲載)。本年11月1日から施行される。

ルール改正の詳細は未検討であるが、継続出願等の制限は、1ファミリー内で2回の継続出願及び1回のRCEに制限される模様。また、クレーム数の制限は25となっている。これらの制限を越える継続出願、クレーム数には詳細な理由の説明等が要求される。

ルール改正の公布後から施行までの間にされた出願/継続出願の取扱についても規定があるようであり、注意が必要。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

USPTO、査定不服審判に関するルール改正を提案

USPTOは、査定不服審判に関するルール改正を提案している。提案の主な内容は、(1)appeal brief, reply brief, rehearing等の各種手続に関する規定の明確化、(2)同手続に関する提出書類の作成方法を明文化、(3)同各書類のページ数の制限、(4)請求人のmisconductに対してBoardの裁量により審判請求の棄却を可能とする。

USPTOは、今後審判請求件数が増加すると予想しており、かかるルール改正により手続の効率化を図る趣旨。

http://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/notices/72fr41472.pdf

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

USPTO、当事者系再審査手続のルールを改正

USPTOは、当事者系再審査手続のルール改正を行った。主要な改正点は、Boardによる審理前(pre-trial)に当事者間で情報交換を行う制度を採用し、また、ディスカバリに準じた証拠開示手続きを取り入れた点。このルール改正は、本年11月1日から施行される。

http://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/notices/72fr42242.pdf

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁