eBay判決後の差止判断(続報)

Commonwealth Scientific and Industrial Research Organization (CSIRO) v. Buffalo Technology Inc., and Buffalo, Inc.,事件においてテキサス東部地裁は、injunction認定のための4要件について概ね下記のように判示してCSIROによるinjunctionを認めている。直接競合関係のない研究機関にinjunctionを認めた判断は注目される。(なお、下記の判示内容はかなり要約しているため正確には判決原文を参照してください)

1. Irreparable Harm
CSIROはオーストライア政府の研究機関であり、知財のライセンス料は他の先端的なR&Dに用いられる。CSIROはBuffaloと市場で競合している訳ではないが、他の研究機関と競合関係にある。下記で論じるように、過去分の損害賠償だけではCSIROが蒙るharmを救済できない。

2. Adequacy of Remedies Available at Law
injunctionを認めない場合、CSIROは将来分につきライセンスを供与する以外に手段がなくなる。ライセンス条件はCSIROにより自由に決められるのが建前であるが、injunctionを認めない場合、過去分の損害賠償算定に用いられる条件がいわば強制的に将来分のライセンス条件となり得え適当ではない。

3. The Balance of Hardships
injunctionを認めた場合、Buffaloは米国での製品販売ができなくなるが、これは金銭的ダメージとして捕らえられる。

4. The public Interest
特許権の正当な行使は、原則的にpublic interestに適合する。

以上。

タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁