米最高裁、AIAの違憲性に関する審理を開始

米最高裁は、America Invents Act (AIA)が米憲法に違反するか否かに関し審理することとした。

Oil States Energy Services LLC v. Greene’s Energy Group LLC (case number 16-712)において、Oil States energy Services LLCは、憲法上、特許の無効を判断できるのは連邦裁判所のみであると主張しAIAが憲法に違反するとしている。

最高裁の判示内容によっては、現在の特許制度の枠組みに大きな影響を与える可能性がある。

キルパトリック・タウンゼント知財総合事務所/ 穐場 仁

米最高裁、特許侵害訴訟の裁判地を制限

米最高裁は、特許侵害訴訟の裁判地につき全一致でCAFCの判断を覆す判決を出した。従来は、被告の製品が販売されていれば実質的にいずれの州の裁判所に提訴しても良いとの判例であった。一方、今回の判決では被告の設立州または主要なビジネス拠点の州のみで提訴可能とされた。従来の実務が大きくかわる判示内容であり、影響を注視したい。

事案は、TC Heartland LLC v. Kraft Food Brands Group LLC (case number 16-341)

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米最高裁、latchesについて判断

米最高裁は、SCA Hygiene Products AB et al. v. First Quality Baby Products LLC et al. (case number 15-927) において、latches(権利行使の懈怠)が多くの特許侵害訴訟における防御となっらない旨を判示した。最高裁によれば、損害賠償における法定の時効期間(6年)が定められている以上、それに加えてlatchesによるディフェンスを認める必要が無いとの判断。

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米最高裁、特許侵害訴訟の裁判地につき審理

米最高裁は、特許侵害訴訟の裁判地につき審理する。現状、原告は、実質的にいずれの州の裁判所に提訴しても良く、原告に有利な裁判地の選択を疑問視する声もある。最高裁が裁判地の選択に一定の制限を課すのか注目される。

事案は、TC Heartland LLC v. Kraft Food Brands Group LLC (case number 16-341)

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米最高裁、271(f)(1)について審理

米最高裁は、米国特許法271条(f)(1)の適用要件について審理する。同条項は、米国から特許製品の全て又はsubstantial portionを輸出した場合に一定条件下で米国特許の侵害となり得ることを規定している。

CAFCでは、一つのcommodity componentを輸出した場合であっても、そのcomponentが特許製品の重要な部分である場合には同条項が適用される得ると判事していたが、最高裁により見直されることとなる。

Life Technologies Corp. et al. v. Promega Corp. et al., case number 14-1538, in the U.S. Supreme Court.

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CAFC大法廷、on-sale barについて判示

CAFCは、en bancにて、on-sale barについて判示した。On-sale barは、商品が”commercial sale (or offer for sale)”の対象になっていなければ適用されないとして、Medicines Co.が試験目的で製造業者に特許製品の製造依頼(有償)をしたことは、on-sale barの対象にならないとした。先立つCAFCのパネルによる判決とは逆の結論となった。

The Medicines Co. v. Hospira Inc., case number 2014-1469

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米最高裁、PTABのクレーム解釈基準を認める

米最高裁は、Patent Trial and Appeal Board (PTAB)がクレーム解釈においてbroadest reasonable interpretation基準を用いることを認める判断を示した。(Cuozzo Speed Technologies LLC v. Lee, case number 15-446)

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米最高裁、故意侵害の認定基準を緩和

米最高裁は、故意侵害が認められる要件について判示した(下記事件番号の2件)。同判決では、2007年のCAFC判決(Seagate判決)を覆し、故意侵害を認定するために”objectively reckless”であったことは必要では無く、”subjective willfulness”が存在すれば良いとした。また、CAFCの判断基準についても、convincing evidenceの基準では無く、地裁判事の判断が裁量権の濫用か否か(abuse-of-discretion)の基準で判断すべきとした。故意侵害の認定基準が大きく緩和されたものと理解できる。

Halo Elecs. Inc. v. Pulse Elecs. Inc., U.S., No. 14-1513
Stryker Corp. v. Zimmer Inc., U.S., No. 14-1520

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